最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)1214 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人石川義郎の上告理由第一点について。
原判決(引用の一審判決を含む。)の記載と記録により認められる当事者双方の
弁論の経過とを対比すれば、被上告人は、第一次的に、DおよびGの先代亡Eの賃
料不払いを理由として本件土地賃貸借契約を解除したと主張し、上告人らの建物買
取請求権行使の主張に対して、右賃料不払いによる契約解除後においては建物買取
請求権が存しないと争い、かりに右賃料不払いによる解除がみとめられない場合に
つき、予備的に、亡Eの上告人Aに対する本件土地無断転貸を理由として契約を解
除するが、その場合には上告人Aが右建物買取請求権を有することを認めると述べ
ていることが明らかであり、そして、原審は、右賃料不払いによる契約解除を有効
と認めて、建物買取請求権行使の主張を排斥しているのである。論旨は原判決を正
解しないものであつて、原判決に所論の違法は認められない。従つて、論旨は採用
できない。
同第二点について。
原審の確定したところによれば、訴外亡Eは原判決別紙目録(一)記載の土地を
被上告人もしくはその前主訴外Fから賃借してその地上に原判決目録(二)および
(四)記載の建物を所有していたところ、上告人Aは、訴外亡Eから右(四)記載
の建物を譲り受けるとともに、その敷地たる原判決目録(三)記載の土地(目録(
一)記載の土地の一部)を転借したが、右土地転貸につき訴外Fおよび被上告人に
おいて承諾を与えないうちに、訴外亡Eの賃料不払いにより目録(一)の土地の賃
貸借契約は解除され、その後にいたつて上告人Aが目録(四)の建物につき買取請
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求権を行使したというのである。しかし、第三者が賃借土地の上に存する建物の所
有権を取得した場合において、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に賃貸借が賃
料不払いのため解除されたときは、借地法一〇条に基づく第三者の買取請求権はこ
れによつて消滅するものと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三二年(オ)第
二六〇号同三三年四月八日第三小法廷判決・民集一二巻五号六八九頁参照)とする
ところであり、本件のように、賃貸借の目的物の無断転貸の場合においても、これ
と別異に解すべき理由は認められない。従つて、論旨は採用できない。
同第三点について。
原審は、所論指摘の事実のほか、その他挙示の証拠により確定した事実関係に基
づいて、本件土地賃貸借契約につき、被上告人のした解除権の行使を信義に反し或
は権利の濫用にあたるものとはいえないと判断しているのであつて、右判断は、前
記事実関係に照らして、是認するに足りる。論旨引用の判例は、本件と事案を異に
して、本件に適切ではない。従つて、論旨は採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 下 村 三 郎
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 柏 原 語 六
裁判官 田 中 二 郎
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